新たな年がはじまりました。昨年末はブログと云う格好の舞台を用意しておきながら一年の総括のようなものをやっていませんでした。*1今さらやったところで遅いですから、どうせやるなら今年の話をしましょう。
と云うわけで、2019年の抱負をつらつら述べていきます。あくまで「こう云うことをやりたいな」と云う程度であり、こうして書くことで背水の陣的な効果を期待してはいますが、絶対に守るわけではありません。あしからず。
1. 「宿題を取りに行く」
2018年に読んだ小説でない文章の中で、おそらく最も自分が感銘を受けたのは巽昌章の評論「宿題を取りに行く」でしょう。日本のミステリがながらく置き去りにしてきた宿題を指摘するこの評論は、完全に鵜呑みにするのも危険ではあり、また、全面的に賛同するわけではないものの、自分が今のミステリおよびその読者に対して抱いている漠然とした不信感・不安感を形にするものでした。
わたしたちは何かを忘れているのではないか? 忘れているとすれば、何を? あるいは何かを忘れていると云うことさえにも気付いていないのではないか? ……ミステリは、このままで良いのか?
ずいぶんと大きく出てしまいましたが、この一年間で、自分なりにこの宿題について考えていきたいと思います。
また、ミステリに限らず、個人的に見て見ぬ振りをしていた様々な宿題を取りに行く一年にもしていきたいと考えています。大学生活の中でおそらく一番自由に出来る時期です。今取りに行かなければ、存在さえも忘れてしまうかも知れません。
こう云うわけで、今年のテーマは「宿題を取りに行く」なのです。
それでは以下、もう少し具体的な話をしていきます。
2. 読書
去年、やろうやろうと思いながら、結局手を付けさえしなかったのが「英語の小説を原書で一冊読む」こと。今年こそこれをやります。読む本はまだ決まっていません。クリスティーあたりはどうだろうかと考えています。
また、ジーン・ウルフと向き合い直します。好きな作家でありながら、未だによく分からない彼の作品群から目をそらすのをやめにします。さしあたっては、〈新しい太陽の書〉と『ケルベロス第五の首』の再読&読み込み、でしょうか。
去年はミステリに重心を移しきってしまいましたが、今年はSFもあまり疎かにしたくありません。本棚の青背率をもう一割くらい上げたい。
ブログを更新して行くに当たって、評論系の読書量も増やしていこうと思っています。自分の感覚だけではあまりに心許ないので。
3. ブログ
見切り発車的にはじめたこのブログも周囲では思いのほか好評をいただいています。ありがたいことです。
今後も運用方針を変えるつもりはなく、特定の作品についての短い文章を気ままに書いていこうと思っています。今のところとりあげる予定なのは、小川哲、レジナルド・ヒル、銘宮、加藤元浩など。このブログは自分の中で優先度が低めなので、どこまでやれるかは他との兼ね合いによります。最低でも月一更新は守りたい。*2
4. ミステリ研
私事ですが大学では推理小説研究会に所属しておりまして、今年は運営に関わる立場となりました。ミステリ研会員としての意気込みをここに書いても仕方がありませんが、とりあえずここでも「宿題を取りに行く」を目標として掲げておきましょう。
その目標を達成するにあたって、とりあえず、次は読書会を主催します。課題本は候補を二つ三つまで絞りました。大きな心変わりでもしない限り、そのうちのどれかでおこないます。非ミステリになる可能性が高いです。
それに、もし可能であれば犯人当てもします。去年の犯人当てであらわになった課題を踏まえつつ、自分なりの犯人当てを模索していく所存です。ただ、前回の犯人当ての後、会話の流れで「次に書くとすればこれの続篇になる」みたいなことを云いましたが、その宣言を守れるかどうかは怪しくなってきました。
また、ミステリ研内には個人的に倒したい人たち(敵意を向けているわけではありません)がいるので、倒すことの是非も含めてそれについて考えていきます。そもそも倒すってどう云うことなのでしょうか。
他にも、ミステリ研内の資料を整理したいとか考えていますが、これはやる気次第です。今のところ主導してまでやってやろうと云うほどの気概はありません。
5. 創作
犯人当てを除いた上で、何かを書きます。
まず、去年これまた犯人当ての後の会話の流れで書くと宣言してしまった短篇(あるいは中篇)を、春までを目処として何らかの形にしたいと思っています。今は「書きたいものはあるのだがどうやって書けば良いのか分からない」状態。手がかりを求めて資料をちびちび集めていますが、これをどうすれば良いのやら。もしかすると、全く資料と関係ないものが出来上がるかも知れません。そもそも出来上がるのかと云う問題もありますが、ここでやらなければずるずると引きのばしそうな気がするので、何かは書きたいところ。
それが出来れば、色んな方から「書かないの?」と云われてきた東方二次創作を何か書きます。こちらはまず何を書きたいのかを決めなければいけません。書きたいものはあれこれとありますが。秘封倶楽部のSF? 幻想少女たちの倒叙ミステリ? 天狗たちを主役にした捕物帖? 個人的な理想は幻想郷でチェスタトンとクイーンを出会わせることですが、そんなことが出来るとすれば山口雅也を憑依させた者か山口雅也本人くらいでしょう。まあ、幻想郷は全てを受け容れると云う言葉を信じて、自分なりに(今回はこの言葉が頻出しますね)やっていきます。
去年発表した犯人当ての主人公たちがわりあい気に入ったので、何か思いつけば何かを書く、かも知れません。
以上、2019年にやりたいことでした。全て実行するのは大変ですが、自分のやる気や体力や大学の単位と相談しつつ、無理しない程度に頑張ります。