鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

日記:2020/04/13

 きのうは体調が良くなかったので早めに寝た。決して三日坊主だったわけではない。パイロンを嚥んだら熱も下がったのでまあ風邪だろう。コーヒーの匂いも味も感じる。インスタントコーヒーと高級なコーヒーとの違いもわからない馬鹿な五感だが、味があるかどうかはわかるつもりだ。きょう淹れたコーヒーは調節を間違えて、許しがたいほどに濃かった。

 

 きのうの午前中は腹痛に悶えていた。ぼくは中途半端に寒い日に腹を壊しやすい。共感してくれるひとも少なくないのではないだろうか。なぜそう思うのかと云えば、そう云う日に限って、駅や学校のトイレはやたらと混むからだ。

 午後はtwitterで回ってきた、現首相が犬をかわいがる動画をどう消化すればよいのかわからず、茫然としている内に過ぎたように思う。もはや怒りを通り越した呆れを通り越したなにかがずうんと脳裡に溜まっていた。嫌なものだ、と思った。嫌なものだ、あれは。

 さらにその後、冷笑的で嫌なインターネットの側面を見せられ、さらに嫌悪が募った。複雑な嫌悪が折り重なっていた。

 

 マニュエル・リマ『THE BOOK OF TREES――系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィックス』を読み終えた。古今東西の樹形図を紹介した図録で、素朴は樹木のアナロジーからはじまり、樹形図と云う存在じたいが枝葉を広げるようにして様々な変化・発展・応用を遂げてゆく様が面白かった。

 

 きょうも家で大人しく、だらだらと過ごしていた。午前中、zoomを用いた講義のリハーサルがあった。実際に試してみると思いのほか快適で、これが新しい日常になってゆくと云うことが急に現実的な質感を帯びた。

 画面いっぱいに映された(実はまだ大半について顔と名前をちゃんと一致させていない)同期たち、先生たちの姿は、感動的でさえあった。

 

 『エドガー賞全集』下巻は読み終わりそうもない。いつの間にか一日一冊を目標のように設定していたけれど、この日記と同じように、無理して守るべきものでもないだろう。きょう読んだぶんでは、リース・デイヴィス「選ばれたもの」、エドワード・D・ホック「長方形の部屋」、M・F・ブラウン「リガの森では、けものはひときわ荒々しい」が面白かった。とりわけ「リガの森~」は内容も、著者も、これがエドガー賞を取ったことも謎で、それゆえに惹かれる。