鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

日記:2020/05/04

 実家内隔離生活が終わった結果、家から居場所がなくなった。すでに書いた気もするけれど、もともとあったぼくの部屋はなんと云うことでしょうすっかり父親のテレワークスペースに改装されており、いままで使わせてもらっていた兄の部屋も晴れて兄のものへ戻り、ぼくだけの空間と呼べるものはどこにもない。ぼくの本棚はいつの間にか両親の蔵書に侵食されていた。ハヤカワや創元を自分なりにちゃんと整理して置いていたのだけれど……。

 この間までは団欒が恋しかったのだから、虫の良い不満であることは承知している。だからことさら不満は主張していない。ただ母の云うように5月中も実家に留まることは、ぼくがひとりで心落ち着けられる場所が確保されない限り、難しいだろう。相手が家族だからこそ引いておきたい一定のラインがあるのだ。

 

 きょうはだらだらとしていた。朝は8時に目を覚ましたのにベッドで2時間くらいネット小説を読んでいた。ぼくはたまに妙な好奇心と云うか天邪鬼的逆張りをすることがあり、具体的には『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』のガールズバンドがひとりの男を総出で愛でるハーレムものの二次創作を寝ぼけたままだらだらと読んだ。百合に挟まる男と作者を批判すれば良いさ、これは作品への愛じゃないと嗤えば良いさ、ここには書き手なりの曰く云い難い熱情があるのだ――たぶん。ただ『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』のキャラクターをろくに知らないので、虚無感が凄まじかった。それに『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』に対しても、この二次創作に対しても、不誠実な読み方だったと反省もしている。

 中学生だったとき、二次創作と云うものをはじめて知ったときの驚きと云ったらなかった。ある作者による物語の登場人物の物語を別の作者によって書く、と云う営為の衝撃。はじめて二次創作を二次創作として読んだのは、『とある魔術の禁書目録』のそれだったと記憶している。原作の既刊分を読み通し、あまり嵌まらなかった自分でも、どうしてだか二次創作の幾つかは、ともすると原作以上に熱心に読みふけった。

 あのときのぼくの延長線上にたぶんいまのぼくはいない。東方projectに触れ始めるのは間を置いたあと、本を読むことが習慣化してからであり、『とある魔術の禁書目録』を二次創作を読んでいた自分とはやはり切り離されている。分岐点はどこにあったのだろう。

 

 なんだかんだ1日に1時間程度であれやっていた勉強さえしていないので危機感を覚えなくもない。

とある魔術の禁書目録 (電撃文庫)

とある魔術の禁書目録 (電撃文庫)

  • 作者:鎌池 和馬
  • 発売日: 2004/04/10
  • メディア: 文庫