鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

日記:2020/05/06

 昨夜は1万字超えの長文記事を投稿したのでもう日記を書く気力はなかった。あらためて読み直すと当初の目論見はおおむね達成されているように思う。惜しむらくは、SFまで挙げる余裕がなかったこと。『なめらかな世界と、その敵』や『死の鳥』なども入れられるなら入れたかった。

washibane.hatenablog.com

 パウル・クレーの《それ以上のことはわたしたちにはできません。》の文章を何度も引用することに政治的な意図がまったくないと云えば嘘になるけれど、個人的思想を強制したいわけではないと云うのは本当だ。強制したところできいてもらえるわけでもなし、いたずらに会内に分断を生むだけだろう。

 

 読む、書く、語る、以外でいまのぼくにそれでもできることがあるとすれば、かつてのぼくのような新入生が現れたとき、彼ないし彼女の語ることをきちんと受け止められることだろう。そのためにはぼくが知らない作家や作品のことであっても受け止めなければならないし、ぼくが知らない作家や作品のことを話してもきっと受け止めて貰えるだろうと思って貰わなければならない。それなりに読んでいて、それなりに語ることができて、それなりに自分じしんの体系――樹冠――をしっかりと持っていて、どんな言説にも何かしら実のある返答ができるような、話しかけ甲斐のある先輩になれれば云うことはない。

 長文を久しぶりに書いて、そんなことを思った。

 しかしたぶんそれは、話していて楽しい先輩よりも難しい道のりだ。現にぼくはたぶん、すでに入会を希望している新入生からは、けっこう話しかけづらいひとに映っている。でも自分から話しかけるのはなんか違うしなあ……。

 

 真藤順丈『宝島』を読み終えた。現実をフィクションでごまかすのではなく、現実にフィクションで抗うような物語。その両者の境界線がどこにあるのかは、今後のじぶんへの宿題だろう。

  『ゲームの王国』上巻が好きなひとはたぶん好き。

 

 明日から講義が始まる。もしかすると毎日更新することが難しくなるかも知れない。無理のない範囲で続けてゆきたい。

宝島

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