鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

日記:2022/07/19

8時に起きる。30分ほどだらだら。このだらだらとした時間がいちばん良くない。それはわかっている。



一限をzoom講義で受ける。先生が慣れていないからか、誰かがマイクミュートにしていないせいでずっとがさごそと朝の生活音が聞こえるからか、何もわからない寝惚けたような授業。話半分に聞きながら試験勉強をする。測量学。各回の課題を復習すればそれなりの点数にはなる、と仄めかしていた先生を信じることにする。雨が窓を打つ。不思議なことに、頭が澄んでいる。



測量学の計算問題は、蓋を開けると単純な図形問題なのに理解が難しい。問題も解説も、計算ではなく概念や日本語で躓く。と云うのも、測量のための計算に用いる値はそれ自体も測量された値であり、目の前の値が真の値なのか計器の値なのか、計器の値ならば何のどのような値で、誤差はいくらなのか、直観的に切り分けるのが難しいからだ。そもそも真の値などと云うものはなく、すべては測量された値から数学的で統計的な処理を施された値に過ぎない。ゆえに測量することとは誤差を測ることなのだと云える。誤差のない測量はあり得ない。地球は平面でも球面でもなく、すべては相対的で絶対的な計器などなく、そして、人間は必ず間違う。



朝早く途切れた眠りを取り返すために少し眠る。目を覚ますと雨がいよいよ激しくなっている。雨の日の外出があまり億劫でないのは、数少ない自分の美点である。家を出る。キャンパスが川のようだ。生協で早めの昼飯を摂る。警報が鳴る。食堂で、あちこちから、何度も。ちょうど3年前も激しい雨だった、とぼくは思い出す。



午後はレポートを書いて過ごす。顔を出していない研究室の先生が出したレポートなので真面目に取り組みたかったが、顔を出していない研究室の先生が相手なので気まずさのあまり〆切当日まで手をつけなかった。ふらふらと論旨の定まらない、講義資料には目を通して自分なりの見解も盛り込んでいますよとアピールするだけの駄文を仕立てて提出する。こう云うやっつけの課題をしてしまうたび、自分が少し嫌いになる。大学のレポートよりサークルの読書会レジュメの方が力を入れているのはどう云うことだ?



五限に出る。面白い話を聞く。これは本当に面白い話だった。



スクラップブックを買う。いままで自分は読んだ本の内容や引用をscrapboxにまとめていたが、この半年は面倒くささに負けて本に付箋を貼るだけ貼ってろくに手をつけていなかった。それならコピーして切り抜いて本物のスクラップにしてしまえば良い、と気付いたのは昨日のことで、善は急げとさっそく一式揃えたのだ。結果を云うと失敗寄りの気がする。新聞や雑誌を前提としたA4サイズのスクラップブックでは、縦書きの本の切り抜きをきれいにまとめられない。やりかたを考える必要がある。



次に書く小説についてひとと話す。次に書くと云うか、書けなくなってしまった現状から抜け出すための執筆だ。とりあえず方針が決まったが、同時に途方に暮れている。しかし、走り出さなければゴールはできない。