鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

ティム・インゴルド

2024年上半期ベスト

生きている世界では永遠に続くものはありませんが、だからこそ、生は無限に続いていくのです。――ティム・インゴルド『応答、しつづけよ。』(奥野克巳訳、左右社) 何かが終わりかけていると云う感覚のなか、読むことも書くこともなんとなく行き詰っているよ…

読書日記:2024/01/19~02/03 J・D・サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』ほか

J・D・サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』(柴田元幸訳,河出書房新社) ケヴィン・リンチ『時間の中の都市』(東京大学大谷幸夫研究室訳,鹿島出版会) ティム・インゴルド『応答、しつづけよ。』(奥野克巳訳,亜紀書房) J・D・サリンジャー『ナイン・…

読書日記:2023/12/22~2024/01/11 ティム・インゴルド『ラインズ』ほか

大変な年明けになった。地震、事故、火災。至るところで人びとが、理不尽によって傷つき、命を落としている。世界が音を立てて壊れてゆくような気がする。もうとっくに腐り始めているのかもしれないが。 私生活においても、熱が出るわ、肺に穴が開くわ、身体…

読書日記:2023/06/19 ティム・インゴルド『生きていること』

行き先の定まったプロセスであるという目的論的な見解に代えて、行き先が絶えず更新されていく宙に投げ出された流転として、生きることの可能性を新たに捉えなおすことはできないだろうか。生きることの核心部分は始点や終点にはなく、生きることは出発地と…