鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

藤原辰史

2023年下半期ベスト

今年は過去数年間のうちで、もっとも手応えをもって読書できた一年だったと思う。読みながら考え、考えながら読む。理由はおそらく、積極的に本文に書き込むようになったこと、それと、メモ帳を普段から使い倒すようになったことだろう。それは書きながら読…

読書日記:2023/11/20~12/03 藤原辰史『ナチスのキッチン』ほか

最近はやたらに読んでやたらに書いている。そのせいでスケッチが疎かになってしまっているけれど、書くことも読むことも線を引くことも、同じ線上に置かれるならば、それも当たり前なのかもしれない。 北村薫『遠い唇:北村薫自選日常の謎作品集』 アドルフ…

満州で過ちを測る:小川哲『地図と拳』について

似たようなことだが、いつのまにか私たちの地図が、自分で夢を見るようになった。だから毎晩、地図が眠りこみ、都市はたえまなく形を変えている。円かったかと思えば正方形になり、山頂にあったかと思えば海底に沈んでいる。煙のような都市。人の声すらしな…

読書日記:2023/09/14~10/12 石牟礼道子『苦海浄土』ほか

この一ヶ月くらい、『蒼鴉城』原稿と『苦海浄土』にかかりきりであまり本を読めていなかったが、一ヶ月ほどまえの感想を放置するのもどうかと思うので更新する。『蒼鴉城』に書いた作品のほうは現在朱入れ校正中で、来月にはお目にかけられると思います。久…