2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧
何も急ぐことはありません。生長を待たなくてはなりません。じっくり育ってゆかせなくてはなりません。やがていつかその時が来たら、立派な作品ができるというのなら、それに越したことはありません。 わたしたちは探求してみなくてはなりません。そのために…
どの一瞬にも、歴史が傍らをよぎってゆく音が静かに鳴り響いている。今福龍太『原写真論』 ひと息のあいまで無為に過ぎていったようにも、目まぐるしく変転したようにも思われる半年でした。昨日と今日で何かがすっかり変わってしまっているのに、それを知っ…
中世的でありながら未来的なパレードは、催眠薬のようだった。そのメッセージは誤解のしようがなかった――テントの外に存在するものは、ここでは価値を持たない。人生について、人間の性質について、そして物理の法則について学んできたことは、すべて忘れる…
手すり際に立ち、フィヨルドの壁が通り過ぎていくのを眺めながら、私はフリーマンの言ったことを考えていた。もしダイソンの性癖がふたたび一世代飛び越えて出てきたらどうだろう? 宇宙船は、誰かこの森のなかで育った者によってつくられることになるのかも…
森の中で何かが呼んだ。それは鳥の声でも、私が聞き覚えのある獣の声でもなかった。その声は闇を貫き、大きな川の音をものともせず響き渡った。苦痛なのか喜びなのか、何かを悲しんでいるのか祝っているのか、わからなかった。ロビンはぎくりとして私の腕を…
僕はあまり、そうは思わない。誰でも少しずつ嘘をつくのだから、ひとしずくでも嘘が混じればすべてが嘘と考えていたら、この世のすべては嘘になる。そんなことは松倉だって……いや、松倉の方が僕よりもよくわかっているはずなのだから、結局僕たちは、同じも…