鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

銃口はどこを向いているか:『天気の子』について、その2

(本稿は映画『天気の子』の内容に言及しています) 雨音は強まり、拳銃は私たちから離れた場所で西の方角を向いていた。それがいまの時点における、いわば明後日の方向だった。 ――瀬名秀明「希望」 拳銃についての幾つかのこと 前回は東京の話をしました。 …

東京に食べられて育った:『天気の子』について、その1

(本稿は『天気の子』の内容に詳しく言及しています) 雨降りしきる灰色の東京が、はじめに映されます。 それは雨の情緒さえ感じられず、風流などと云っていられない、じめじめとして暗い、現代における都市の雨です。広大で無機質なビル群がけぶる様は、な…