鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

米澤穂信

読書日記:2023/07/30 米澤穂信『可燃物』

「仕方がありません。それが、私とあの子が払う代償というものでしょう」 ストイックな短篇集だ。定規やコンパスで作図された幾何学模様を思わせる。謎があって、解決がある。その抽象的な運動のために、ぎこちないほどに淡々とした文章と、警察小説の体裁が…

読書日記:2022/12/01 米澤穂信『栞と嘘の季節』

僕はあまり、そうは思わない。誰でも少しずつ嘘をつくのだから、ひとしずくでも嘘が混じればすべてが嘘と考えていたら、この世のすべては嘘になる。そんなことは松倉だって……いや、松倉の方が僕よりもよくわかっているはずなのだから、結局僕たちは、同じも…