鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

満州で過ちを測る:小川哲『地図と拳』について

似たようなことだが、いつのまにか私たちの地図が、自分で夢を見るようになった。だから毎晩、地図が眠りこみ、都市はたえまなく形を変えている。円かったかと思えば正方形になり、山頂にあったかと思えば海底に沈んでいる。煙のような都市。人の声すらしな…

「グラモフォンとフィルム、タイプライターのための殺人」:『蒼鴉城 第四十九号』

あとに残るのは言葉。ただ言葉だけだ。われわれは言葉の外に出ることはできない。音楽がドレミの外では何も演奏できないように。映像が光の外では何も映すことができないように。すべてはこのどうしようもない窮屈さのなかで一切が遅れてゆく。そこには本当…

読書日記:2023/11/08~11/15 ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』・松井和翠『和翠の図書館I』

卒業研究の進捗が芳しくない。それはそれとして本は読む。 スーザン・ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』 写真は繰り返し立ち現れる。写真は単純化する。写真は扇動する。写真はコンセンサスという幻覚を創り出す。 藤原辰史先生の《現代史概論》に潜ってい…

読書日記:2023/11/02~11/07 石岡丈昇『タイミングの社会学』ほか

読書日記なのでさらっと書くつもりだったが、どれも本当に良い本だったのでじっくり書いてしまった。 結城正美『文学は地球を想像する:エコクリティシズムの挑戦』 石岡丈昇『タイミングの社会学:ディテールを書くエスノグラフィー』 本田晃子『革命と住宅…

書評・掌篇・座談会:文学フリマ東京37で読める鷲羽巧の文章

来たる2023年11月11日、東京流通センターにて開催される文学フリマ東京37にて、鷲羽巧は出席こそしませんが、いくつかの文章を書かせてもらっております。以下、その告知です。 カモガワ編集室『カモガワGブックス vol.4』〈池澤夏樹=個人編集 世界文学全集…