鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

読書日記2019/02/21 イアン・マクドナルド『旋舞の千年都市』他

SFを読む意欲が湧いてきたので、積んでいたSF長篇を3冊読んだ。SFを読むと云う今年の抱負を、早速実践したことになる。 イアン・マクドナルド『旋舞の千年都市』の舞台となるのは、近未来のイスタンブールである。ヨーロッパとアジアの狭間、様々な勢力が取…

読書日記2019/02/13 アガサ・クリスティー『象は忘れない』

《回想の殺人》と云うテーマが最近気になっている。過去に起こった、記憶の中の事件を解決する形式のミステリのことで、代表的なのはアガサ・クリスティー『五匹の子豚』だろう。この形式の場合、事件は目の前に展開されることはなく、資料や証言、そして経…

読書日記2019/02/07 ダリル・グレゴリイ「二人称現在形」他

テストが終わり、単位については人事を尽くして天命を待つ状態となったので、開放感に任せて図書館に行った。〈S-Fマガジン〉を読むためだ(京都府立図書館はごく初期を除いて、〈S-Fマガジン〉のバックナンバーが揃っている。優秀!)。読んだのは単行本未…

POSシステム上から消失した「銘」:銘宮「黄金の降る場所で」

円堂都司昭「POSシステム上に出現した「J」」*1は、全てをバーコードによって特定していくシステムに危ういほどその身を近付けつつも最後には否定をぶつけるものとしての本格ミステリ像を語る、刺激的な評論だった。ここで例示されているのは90年代に現れた…