鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

2024-01-01から1年間の記事一覧

読書日記:2024/04/06~04/18 コーマック・マッカーシー『通り過ぎゆく者』ほか

コーマック・マッカーシー『通り過ぎゆく者』『ステラ・マリス』 松浦寿輝、田中純、沼野充義『徹底討議 二〇世紀の思想・文学・芸術』 コーマック・マッカーシー『通り過ぎゆく者』『ステラ・マリス』 キャンバスのバッグをとって台所に入り缶詰とコーヒー…

読書日記:2024/03/12~03/20 ロバート・ダーントン『検閲官のお仕事』ほか

全体的にコメント短め。もう3月終わるってマジ? ロバート・ダーントン『検閲官のお仕事』(みすず書房) カルロ・ギンズブルグ『裁判官と歴史家』(平凡社) 大岡昇平『事件』(創元推理文庫) ロバート・ダーントン『検閲官のお仕事』(みすず書房) 東ド…

創作「夜になっても走りつづけろ」

『夜になっても遊びつづけろ:よふかし百合アンソロジー』(ストレンジ・フィクションズ,2021)に書いた短篇。コーマック・マッカーシーの遺作『通り過ぎゆく者』を読んでいたらふと思い出したので、もう発表から3年も――3年も?!――経つことも踏まえ、じゃ…

読書日記:2024/03/02~03/07 古野まほろ『禁じられたジュリエット』ほか

国内ミステリ三冊。『禁じられたジュリエット』の感想については核心的なネタバラシを避けるものの、相当内容に踏みこんでいるので未読の方はご注意を。 北山猛邦『天の川の舟乗り:名探偵音野順の事件簿』(創元推理文庫) 横溝正史『八つ墓村』(角川文庫…

読書日記:2024/02/19~02/28 ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』ほか

S・S・ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』(創元推理文庫) エドガー・アラン・ポー『ポー傑作選1 黒猫』(角川文庫) ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』(東京創元社) S・S・ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』(創元推理文庫) 「そんなはずはない」ヴァン…

往復書簡:2024/02/23

上雲楽さんへ(ところでこのお名前、苗字と名前の区別とかあるのでしょうか? 前回の手紙では字面でなんとなく「上雲さん」と呼んでしまいました。とりあえずここではフルネームでお呼びしますね、まどろっこしくてごめんなさい) お手紙、どうも。 けれども…

私的オールタイムベスト・ミステリ

深夜の突発企画。こう云うのは勢いでやるもんだ。選んだのは十二冊。黄金の十二ゴールデン・ダズンである。 アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』 アガサ・クリスティー『葬儀を終えて』 アガサ・クリスティー『鏡は横にひび割れて』 アガサ・クリ…

往復書簡:2024/02/17

上雲楽さん お手紙、どうも。伊勢田勝行=伊津原しまと云うつくり手のことは初めて知りました。とりあえず検索をかけて、ニコニコニュースでのインタビューを読み、そこで紹介されていたMVを見ました(短かったので)。なんと云えば良いのか、圧倒されまし…

連鎖/転用:あるいは、ピタゴラ装置について考えるときに考えるいくつかのこと

箱の後部に突き出た摘みを回して、ゼンマイを巻く。ゼンマイの動作によって歯車が回転し、それに接続された真鍮のシリンダーがゆっくりと回転を始める。シリンダーには小さなピンが無数に打たれており、これが台座に設置された櫛歯コームを弾くことで音が鳴…

読書日記:2024/02/05~02/11 カルロ・ギンズブルグ『糸と痕跡』ほか

有栖川有栖『長い廊下がある家』『妃は船を沈める』(光文社文庫) カルロ・ギンズブルグ『糸と痕跡』(みすず書房) 有栖川有栖『長い廊下がある家』『妃は船を沈める』(光文社文庫) 「いい心掛けだ。力余って尻餅を搗くようなスイングは見ていて気持ちが…

読書日記:2024/01/19~02/03 J・D・サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』ほか

J・D・サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』(柴田元幸訳,河出書房新社) ケヴィン・リンチ『時間の中の都市』(東京大学大谷幸夫研究室訳,鹿島出版会) ティム・インゴルド『応答、しつづけよ。』(奥野克巳訳,亜紀書房) J・D・サリンジャー『ナイン・…

往復書簡:2024/01/31

巨大さんへ*1 お手紙、どうも。 乗代雄介『旅する練習』はぜったいに読もうと思いながら、いくらかのたじろぎによってまだ読めていない小説です。たじろいでいるうちに文庫化してしまいました。なぜたじろいでいるのかと云えば、これまでに読んだ乗代作品――…

読書日記:2023/12/22~2024/01/11 ティム・インゴルド『ラインズ』ほか

大変な年明けになった。地震、事故、火災。至るところで人びとが、理不尽によって傷つき、命を落としている。世界が音を立てて壊れてゆくような気がする。もうとっくに腐り始めているのかもしれないが。 私生活においても、熱が出るわ、肺に穴が開くわ、身体…

感想をどう書くか/なぜ書くか/何を書くか:あるいは、君たちはどう生きるか

2024年がはじまりました。今年もよろしくお願いします。 昨年末、周囲でブログがたくさん稼働している音が響いていたので、ここはひとつ、ブログを継続的に書く――感想を書き続けるために個人的に考えてきたことを公開しようかと思います。数ヶ月前、ミステリ…