来たる2023年11月11日、東京流通センターにて開催される文学フリマ東京37にて、鷲羽巧は出席こそしませんが、いくつかの文章を書かせてもらっております。以下、その告知です。
カモガワ編集室『カモガワGブックス vol.4』〈池澤夏樹=個人編集 世界文学全集〉全レビュー参加
ではこれはいったいなんなのか?
世界が音を立てて引き裂かれているかのような21世紀の現在、「世界文学」と云う言葉は幾らか空疎に、それでいて、いやだからこそ、切実に語られているように思います。物語ることに何ができるか。それを読むことが何になるのか。企画への参加はあくまで気軽だったはずですが、レビューのために読んだ小説たちに、いま・ここで、これを読んで・語る、と云うことを真剣に問われたような気がします。
鷲羽は以下の三作品を担当しました。
選んだのは偶然でしたが、いずれも20世紀と云う時代に収奪された者たちの語りが揃いました。けれどもそんな安易な理解を拒み、すり抜けてくる作品たちでもあります。
c.bunfree.net
造鳩會『鳩のおとむらい 鳩ほがらかアンソロジー』参加
大学三年の夏、わたしはリョコウバトの鳩舎ではたらいたことがある。
藤井佯氏編、鳩をテーマにしたアンソロジーです。鷲羽は短いフィクションで参加しました。以前このブログでも公開した掌篇の再録ですが、もとは『蒼鴉城』に書いたもの。いろいろなところで発表しているのは、かなり気に入っている作品だからです。変にひねくれることなく、まっすぐに希望を書くことができたと思います。
アンソロジーは参加者70名以上、小説のほかにもエッセイやイラストまでいろいろ収められてボリュームたっぷり。そのいずれも鳩と云う同じテーマで書かれているのだから驚かされます。鳥たちが群れをなして一斉に羽ばたく。けれどもその羽根に同じものはひとつとしてない。
松井和翠『和翠の図書館I』〈掌篇百撰〉座談会参加
子供のころに実感する「死」ほど恐ろしいものはありません。
多少なりとも本を読んできた者ならばわかっていただけると思いますが、アンソロジーを編むことには代え難い悦びがあります。作品を並べ、そこから糸をほぐし取って、自らの手で編み上げてゆく。その面白さはともすると、推理小説なるものの面白さ、果ては物語と云う営為の根底にさえ通じる原動力でしょう。そうして多くの読書家が惹きつけられ、構想するアンソロジーを、松井和翠さんは単に提案するだけでなく、実際に編んでみせた。鷲羽はそうして編まれたアンソロジーのひとつ〈掌篇百撰〉を読ませてもらい、座談会に参加しました。ほかの参加者は主催の松井さん、そして小野家由佳さん、浅木原忍さんです。アンソロジーのテーマはズバリ、掌篇。単に短ければ良いと云うわけではないその形式はときに、神話的なスケールを獲得します。
座談会自体は数年前のことで、いまとなって読み返すと恥ずかしいくらい拙いコメントしか云えていませんが、これはこれで素朴な良さがあります。エアミステリ研究会のブースで頒布予定とのこと。