- 写真に何が写っているのかを書く
- 出来たものを半分くらいまで削る
- 切りがないので全体の作業が1時間程度で収まるように
- できる限り
- やれ
書く
工場の裏へ通じる袋小路。イギリス積みされた煉瓦の外壁が高く聳えて、狭く縁取られた曇り空に低い煙突が飛び出ている。陽射しが斜めに差し込んで、日陰になった路地と日の当たる壁向こうの、窓の部分の凹みが規則的に並んだ、錆びたパイプが外壁に這う煉瓦造りの建物とでコントラストをつくっている。奥の壁に対して斜めに入射するようにして自動車が駐められていた。二色のカラーリングで車体は褪せたようなピンク、屋根が白。自動車の前面はこちらをむいておらず、半分壁にめり込んでいるように見えた。奥の煉瓦塀の高くには何か描かれていたのだろうか、焦茶色のペンキがこびりついており、ポスターほどの大きさに矩形で塗りたくられた下には尻尾のようにペンキが垂れている。ペンキに沿って視線を上げると、掠れたような橙色が単調に続く壁を斜めに横切って洗濯紐が渡され、色とりどりの洗濯物がふたつに折って掛けられてある。青いシーツ。赤い毛布。毛布と同じ柄でサイズの大きい薄茶色の毛布は風に吹かれたのか捩れている。白いシャツ。ベージュのシャツ。灰色のシャツ。赤色のセーター。紅色の上着は日陰に溶け込んで、うしろの煉瓦塀と見分けがつかない。青いタートルネックを抱きしめるように、明るいオレンジの上着が捩れて袖の部分まで紐に引っかかっていた。
削る
工場裏へ通じる袋小路はイギリス積みの煉瓦塀に囲まれていた。塀の向こう、同じく煉瓦造りの工場の外壁は午後の陽に照らされ、反対に路地は陰になって暗い。くすんだ薄紅色の自動車が奥の壁に向かって半端な角度で駐められ、遠くからは壁に車体をめり込ませているように見えた。その壁の高いところに焦茶色のペンキが矩形に塗りたくられている。何を塗りつぶしたのだろう。矩形からはペンキが尻尾のように垂れていた。袋小路の奥から手前までは洗濯紐が対角線上に渡され、色とりどりのシーツやシャツが二つ折りにされて掛かっている。洗濯物は風に吹かれて捩れていた。一番奥の青いシャツに明るいオレンジの上着が袖を引っかけ、背後から抱きしめているようだった。
反省
- 写真を見ていない人間に、どんな写真かこれで伝わるか?
- 比喩に頼るな。
出典
『Fred Herzog: Modern Color』より「Victoria, 1967」。