鷲はいまどこを飛ぶか

多くの場合は、小説について。

2021-01-01から1年間の記事一覧

文体の舵を取れ:練習問題④重ねて重ねて重ねまくる

問一:語句の反復使用 一段落(三〇〇文字)の語りを執筆し、そのうちで名詞や動詞または形容詞を、少なくとも三回繰り返すこと(ただし目立つ語に限定し、助詞などの目立たない語は不可)。(これは講座中の執筆に適した練習問題だ。声に出して読む前に、繰…

活動報告:2021年度前半

今年は以前よりも「鷲羽巧」の筆名で活動することが多くなりそうです。所詮はアマチュアの身、活動報告なんてするのも烏滸がましいかなと思っていましたが、ミステリマガジンに名前が載っているのを見たら、twitterだけで諸々の告知を済ませるのは流石に褒め…

文体の舵を取れ:練習問題③長短どちらも

問一:一段落(二〇〇〜三〇〇文字)の語りを、十五字前後の文を並べて執筆すること。不完全な断片文(間投詞や体言止め)は使用不可。各文には主語(主部)と述語(述部)が必須。 問二:半〜一ページの語りを、七〇〇文字に達するまで一文で執筆すること。…

文体の舵を取れ:練習問題②ジョゼ・サラマーゴのつもりで

一段落~一ページ(三〇〇~七〇〇文字)で、句読点のない語りを執筆すること(段落などほかの区切りも使用禁止)。 テーマ案:革命や事故現場、一日限定セールの開始直後といった緊迫・熱狂・混沌とした動きのさなかに身を投じている人たちの群衆描写。 提…

文体の舵を取れ:練習問題①文はうきうきと

問1:一段落〜一ページで、声に出して読むための語り(ナラティヴ)の文を書いてみよう。その際、オノマトペ、頭韻、繰り返し表現、リズムの効果、造語や自作の名称、方言など、ひびきとして効果があるものは何でも好きに使っていい――ただし脚韻や韻律は使用不…

これから書きたいもの

これから書きたいものをメモします。 ひとが新作の構想をブログ(ではなく、pixivのfanbox*1)に書いているのをみて、そう云うのやって良いんだ、と驚き、どうもこの数日さまざまなことがはかばかしくない自分もやってみるか、と思った次第。複数の構想がご…

2021年上半期ベスト

ですからお爺さんがもしも又奇蹟を見たいならば、それは僕等の周囲で常に発見されるのです。至る所で。世界は無量の謎であり、お伽話の中にある幾ら経っても減らない打出の小槌なのです。毎日毎日が新らしい奇蹟の啓示です。 ――地味井平造「魔」 単行本と短…

鑑賞法に転倒した創作術

あんまり整理できていないことをメモがてらに書く。 世の中には創作指南が溢れている。プロの作家による手法の開示や脚本家養成スクール等々の講師による参考書から、twitterでバズるいち創作者の意見まで。あなたはそこから好きなものを選んでテクニックと…

読書日記:2021/05/19

勉強しなくてはいけないのだがしていない。と云うか何を勉強すれば良いのかわからない。とりあえずこの辺のひとのを読んでみればと云われた研究論文をいくつか読んだがこう云うのをやりたいのではないと云うことがわかった。入り浸るべき研究室はウレタン鼻…

読書日記:2021/05/05

ゴールデンウイークは平日より生産性が低かった。それなりに忙しかった4月を切り抜けて、気も抜けたのかも知れない。 コリン・デクスター『死者たちの礼拝』 モース4作目。デクスターは好きな作家ではないことがわかってきているのでそろそろ読むのをやめた…

読書日記:2021/04/25

真藤順丈『われらの世紀』を読んだ。以下、雑感。ミステリ研のdiscordサーバーに投稿した感想を転載した。 出版社一押しなのであろう「一九三九年の帝国ホテル」と「レディ・フォックス」は、主題もストーリーも、『宝島』級の長さが必要な作品だった。話運…

読書日記:2021/04/18

パヴェウ・ヒュレ『ヴァイゼル・ダヴィデク』を読んだ。以下、雑感。ミステリ研のdiscordサーバーに投稿した感想を転載した。 海外文学で毎年一冊は出てくる、「何が起きたのか?」「あのひとは何者だったのか?」と云う問いかけをミステリ的な手続きで追求…

読書日記:2021/03/31

青山文平『泳ぐ人』を読んだ。以下、雑感。ミステリ研のdiscordに投稿した感想を転載した。 文章が巧い。わけても料理描写は卓越している。これは大変重要なことです。 それはさておき。 19世紀江戸のシステマティックな社会で起こる様々な刃傷沙汰とその裡…

読書日記:2021/03/15

阿津川辰海『蒼海館の殺人』を読んだ。前作は未読なので的を外した感想かも知れないが、以下、感想を残しておく。もともとはミステリ研内のdiscordサーバーに投稿したものに、少しだけ手を加えた。 嵐に見舞われた屋敷とそこに住む家族の謎――と云ういかにも…